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片流れと長柱による落雪屋根をもつ構造
Overview&Goal
北海道のニセコエリアに向かう道中で誰しもが通る道沿いに計画したクリニックです。
ニセコはリゾート地という土地柄もあり、ウィンタースポーツなどのアクティブィティーを楽しむ人が国境を超えて多くいる中で、スキー場からほど近くに英語で対応できるスタッフが常駐しているクリニックが必要という事が計画のきっかけです。比較的、開けた道に面していて、ニセコ特有の積雪2.3mを受ける木造Joistが生み出す勾配屋根を生かすために、フレームはシンプルな建築を目指しました。
今回の建物の構造計画/設計テーマは、①片勾配の空間をシンプルに作る、②多雪地域で4.2mもの長柱を実現する方法を意識しながら設計を行いました
Idea
構造計画/設計のテーマに即して、AIGのアイデアを挙げると、
①多雪地域では、建物が出来上がった後の除雪作業がテーマになり北海道では無落雪屋根を採用することが多くあります。札幌の1.6倍近くあるニセコの積雪2.3mは重量として非常に重く、無落雪屋根とすることで除雪の手間を省くことが可能ですが、今回の計画では逆手に取り、あえて公道と反対側の敷地内に落雪場所を確保した落雪屋根としています。落雪屋根と言っても、積雪荷重を低減出来るほどの勾配ではないため、基本形として積雪荷重を対峙することになります。今回は、施工者を選ばない汎用的な工法で構築することをテーマにして、シンプルな片流れを2×4の材料であるSPF材をJoist状に並べる架構としています。毎度頭を悩ませるのが2方向片持ちとなる出隅の作り方です。今回は、隅木梁に対してシンプルビームとなるように計画しました。
②片流れの屋根は片側が高いという事になりますが、今回は高い方は2mもの柱長となり、弾性座屈耐力では、物性の20%程度しか軸力を保持出来ません。その上、積雪荷重も相まって木造とする意味があるのか?と毎回思い悩みますが、根気強く今回は調整を繰り返し1820@の柱配置で満足しない部分は2本抱きにしたり、座屈補剛をするような水平部材を配置してみたり、一部Steelの力を借りたりして気持ちのいい解放感を得ることが出来たと感じています。
北海道のような多雪地域ではどうしても、積雪荷重がクリティカルとなり断面サイズが大きくなりがちで、そもそも木造で作ることに意味があるのか?という根元的な想いを毎度感じますが、出来上がるとやっぱり木造ならではの空間となりやっぱり木造でよかったなぁと思います。
どうやら、木造を設計する時には構造設計者の頭を切り替えて木造に基準化した思考で臨む必要があるのかな、とも思いますが、そのあたりのボーダーが近年は曖昧になっているのも事実で、技術の進歩に合わせて構造設計者のイメージする空間も変わって行くのだと思います(多 友佳子)




data
- 所在地
- 北海道倶知安町
- 用途
- クリニック
- プロジェクト期間(開始)
- 2017.01
- プロジェクト期間(竣工)
- 2017.12
- 規模
- 地上2階
Credit
- クライアント
- 医療法人NIC/ニセコインターナショナルクリニック
- 建築設計
- DAIDA DESIGN STUDIO
- 立役者(AIG)
- 安藤 耕作
- 写真家
- KEN五島