AIG ANDO Imagineering Group Inc.

T邸 -bee grid-

外部にアウトセットされた耐力壁

Overview

愛知県知多半島で養蜂業を営む家族のための住宅の計画です。計画地のすぐ隣に養蜂場があり、家業と生活が密接に結び付いています。家の周囲や上空を蜂がブンブン飛び回る為、外に洗濯物も干せず、季節によっては庭遊びも躊躇う環境です。それならもっと離れた所に住むという選択もありそうですが、暖かくなると蜂の活動域はとても広くなり、近隣とのトラブルなども増えるそうです。そのケアの為に隣に住む、まさに職住近接です。一方でこのエリアは、湿気の多さと冬の強風が特徴です。夏には蜂と共に北海道に移住すると言うせわしない生活をしている一家が、この特異な環境の中で家族や友人とゆっくり過ごす場をつくることが、この計画の最大の与件でした。

Design

養蜂場におけるグリッドに着目してみました。養蜂箱が一定間隔でグリッド状に置かれるこのスタイルは、作業性も考慮してのことですが、蜂たちは、そのグリッドの端の養蜂箱により多く住み着く習性があるようです。この住宅においても、敷地に1間(1820mm)のグリッドを設定しました。構造的にも安定していて、人間にとって身近なスケールのグリッドです。主空間は6間×4間で、その輪郭に沿って耐震壁を、外側に跳ね出すように直交させて配します。その結果、室内空間には壁はなく、おおらかな空間を生み出しつつ、その直交壁が周囲の風景を切り取り、適度に視線を制御し、プライバシーの確保にも貢献しています。直交壁の間には様々な高さの窓やベンチを設け、蜂の習性さながら、内外の境界線上に居場所を生み出しています。基礎は1m程度の高独立基礎とし、床下を風が抜けるようにしています。これはこの地の湿気に対応するものですが、結果的に周囲の風景をより効果的に取り込む事を可能にしています。職住近接という与件に対して、全方位的な開口によるおおらかな空間と小気味の良い窓辺空間とのマッチングにより、この家族のためのオリジナルの住まいが実現しました。

data

所在地
愛知県半田市
用途
個人住宅
プロジェクト期間(開始)
2022.11
プロジェクト期間(竣工)
2024.04
規模
地上2階

Credit

クライアント
養蜂家
施工会社
辰喜建築工芸
写真家
平井広行