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AIG

Projects

HERE WE INTRODUCE THE PROJECTS WE HAVE DONE.
ALL PROJECTS ARE MADE OF IDEAS AND THOUGHTS THAT
EMBODY OUR PHILOSOPHY “IMAGINEERING”.

dots.tokyo

くせのある6本柱PCラーメン構造
  • PC PC

over view & Goal

AIGとは多くのプロジェクトを協働している株式会社ビーフンデザイン進藤強さんと計画した、上野駅と浅草寺の間のエリアに建つ旅行者向けの短期滞在型住居です。 このプロジェクトがスタートしたのは、高力ボルトが世の中から消えたHTBショックの最中で、Steel造を計画しても着工の目処が立たないということで、現場打ちのプレストレストコンクリート構造(PRC造)を採用しました。 狭小な計画地、7.6m×11mの敷地に、スキップフロアの多様な断面を持つ6本柱の建物を、敷地目一杯に建てました。 スキップフロアの境界部分には躯体に段差ができるため、その段差を利用して短調になりがちなストリップラーメンに方向性のメリハリを与える架構計画としました。 これらのフレームにプレストレスを導入して、高さのわりにスリムな架構を目指しました。 PC工事では、これまでにたくさんの現場を共にし、AIGの価値基準をよく理解してくれているNHS株式会社が、PC工事だけに留まらない鉄筋工、型枠工などの周辺分野までを監修するような力の入れ具合で施工しました。 この建物の構造計画/設計のテーマは、以下としました。 ①建築計画に寄り添ったコストパフォーマンスの良いPRC造のフレーム ②PC設計の老舗としてのPCの有効利用 ③塔状建物の根本的な対処(塔状比4.6)

Idea

一般的にPCは、PC鋼材を引っ張ることでコンクリートに圧縮力を与え、懸垂力や復元力を得ることで引張に強いSteel(鋼材)と圧縮に強いコンクリートの相互の特性を活かせる工法です。 これを架構に応用すると、RCでは得られないたくさんのメリットがあり、それらをこの建物ではシンプルに形にしています。 ①6本柱のうち、スキップフロアの段差を包絡する大きなPC梁を配置し、柱も強軸向き(400mm× 1000mm)として、このフレームで地震時の水平力の70%程度を負担する架構としています。 直行する方向は、対称型のフレームを外―外が強軸となるように配し、壁のような柱の方向に強弱をつけて役割を明確にし、応力を負担させられるような架構としています。 ②PCというと、大きいスパンを構築するという使われ方が多いですが、AIGではその使い方は当たり前と して、高層化したときに復元力を与えたり、単純に部材の終局強度を高めたりと、少しフォーカスする点をズラした利用をしています。 今回の場合も、部材耐力の向上を主眼に、あやとりのようなPC配線とRC配筋の納まりを研究し尽くし、無理のない施工計画としました。 ③高さと幅の比(アスペクト比、塔状比)の大きい建物は、高密度な都市部では常識的なビルディングタイ プですが、水平外力が自重の30〜55%というのはとても大きな力で、例えば、100kgの人が30kgの力で押されたら倒れます。それを倒れないようにするために構造設計を行うのですが、外力をピークオフ(免震)することや、エネルギーを吸収(制振)すること以外にも有効な方法としては、建物を軽くすることが根本的に大切です。外力というのは、水平震度×重量だからです。 この建物では外壁を乾式化したり、スラブをデッキコンクリートスラブとしたり、PCで架構を省力化したりと、当たり前の軽量化を図り、高塔状比に対抗する構造計画としています。 この建物は、街にある一般的な建物ですが、投下されているアイディアや技術力は小さくなく、AIGでは当たり前に実践されていますが、改めて構造図や構造計算書を見て「なるほど!」と思える建物ではないかと自負しています(村松 美幸)

data

所在地
東京都台東区
用途
ホテル
プロジェクト期間(開始)
2018.10
プロジェクト期間(竣工)
2021.06
規模
地上9階

Credit

クライアント
株式会社イロアス・ウェイ
建築設計
BE-FUN DESIGN
立役者(外部)
NHS株式会社(PC工事)
立役者(AIG)
村松 美幸
写真家
平井 広行