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AIG

Projects

HERE WE INTRODUCE THE PROJECTS WE HAVE DONE.
ALL PROJECTS ARE MADE OF IDEAS AND THOUGHTS THAT
EMBODY OUR PHILOSOPHY “IMAGINEERING”.

いでた平成眼科クリニック

6枚の帯を表現するPC梁によるラーメン構造
  • RC RC
  • PC PC

over view & Goal

この建物は、安藤と長く付き合いがあり、建築家としても、組織つくりの先輩としても尊敬している松山将勝さんの事務所と取り組んだプロジェクトです。松山さんとは多数協働していて、どの建物もストーリーのある造形で、構造計画としても思案に暮れる楽しさがあります。今回のプロジェクトの担当者は、そんな松山事務所に当時所属していた伊南宗一さんで、彼独特のボリュームの作り方があり、今回伊南さんが提案した建物は、RCの1層を2つのシャープなレイヤーに分割したものを3層重ねた、6レイヤーの帯が自由に重なり合った、ストーリーが有るような無いような重厚感とユーモラスが合わさった建物です。この建物に対して大きく飛び出す帯にPCを取り入れ、帯に囲まれたスラブはボイドスラブを用いた、地上3階建ての耐震壁付きRC構造の計画としました。 この建物の構造計画/設計のテーマは、①3層を立面的に6レイヤーの帯とすることの構造計画との整合性、②帯の構造としての表現方法。

Idea

一般的に耐震壁付きRC造として重要なポイントは、鉛直方向の力を流すために、立面的に連続させることです。今では驚かなくなったのですが、AIGで手掛けるRC造は欲しい位置で壁が連続してくれないという、「えっ!どういうコト?」という面構造が多いので、普通に図面を見ているだけでは気が付かない、上位の目線からの構造計画のアイデア、ストーリーが重要になってきます。 構造計画/設計のテーマに即して、AIGのアイデアを挙げると、 ①まずテーマとして構造における帯の表現方法は、1層分の壁を2分割し、それを交差して伸ばすことで表現しますが、この“交差する”という行為は、立面的に連続する壁が少ないとも言えます。AIGでベーシックとなっている、部屋を区切る間仕切り壁、帯として使っている壁を、吊り壁やフィーレンデールという安藤がいつも言っている、面を不可思議に利用する構造の方式を用いて、鉛直方向に支持する柱や壁に伝達するように応力をコントロールします。このように意匠の造形と構造のストーリーがマリアージュすることで、自由だけどなるほど感のあるファサードが表現できることを改めて面白いと思いました。 ②AIGではスパンを飛ばしたいときや、スラストを処理したいときなど、カジュアルにPCを利用することも多い。帯を構造としてデザインするために、1層分の壁を2分割し、分割したものを梁として延長させることで帯を表現していますが、およそ4.5mのキャンチレバーに対してPCを利用することで、応力自体をコントロールすることが可能になり、PSによって部材耐力も向上します。RCは出てきた応力と対峙するしかないが、PCの場合はライズと緊張力という組み合わせを駆使して、RCにはない荷重によるモーメントの好きにはさせない感じが面白いと思います。 以上のような構造的なアイデアをカタチにした建物ですが、あたり前に使っているPCですが、筆者がAIGに参加するまでPCを扱ったことがありませんでした。というより、PCの話を聞くことはあるが、「RCに比べて高価」というワードが多く、視野にすら入れてはいけないものかのようでした。そのPCを、スパンを大きく構築するという当たり前の使い方以外の使い方と、すべてをPC造として利用しない面構造の補助として、浮遊感や緊張感のためのPCの使われ方は、新しくはないが今の時代には新鮮に感じられます。参加して1年半ですが今まで知らなかったPCの使い方に触れて、PCの面白さと可能性を感じています(曽根 卓也)

data

所在地
熊本県熊本市
用途
クリニック
プロジェクト期間(開始)
2017.11
プロジェクト期間(竣工)
2019.05
規模
地上3階

Credit

クライアント
いでた平成眼科クリニック
建築設計
株式会社松山建築設計室
立役者(外部)
株式会社松山建築設計室 伊南宗一さん
立役者(AIG)
藤田 啓
写真家
Photo by Toshihisa Ishii