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AIG

Projects

HERE WE INTRODUCE THE PROJECTS WE HAVE DONE.
ALL PROJECTS ARE MADE OF IDEAS AND THOUGHTS THAT
EMBODY OUR PHILOSOPHY “IMAGINEERING”.

IENOWA

合板による木折版の大屋根
  • STEEL STEEL

over view & Goal

福島の小名浜から上った高台の宅地に作った建築家 松下慎太郎さんの友人の家です。クライアントが生活したい自宅のイメージが、外部と内部の境が曖昧なガソリンスタンドのような大屋根空間に住みたい。と言うものでした。そのワードに触発されたアイデア(短絡的ではあります)が木合板による折版構造でした。しかもその木折版がサポートするフレームにフワッと点で載っているのが、ガソリンスタンドっぽいね。と言う最初の会話を大切にして、最後まで突き詰めてみました。 構造計画/設計のゴール設定は、①木質折版構造をどのように効率よく作るか。②Steelと木質材料の強度、硬さの違いをどう表出させるか。③計画地のすごく良好な地盤をどう活かすか。のような点がゴールであったと記憶しています。

Idea

建築家の松下さんとのモノづくりは、空間のイメージを共感/共有しながら、お互いの領域での問題点や課題点を持ち寄って、「構造的に、こうなったら違った見え方になるんだけどなー」とか「建築的にはこうありたいんだけど。構造的にはどうだろう?」みたいな議論とも言えないようなコミュニケーションを積み重ねるのが常なので、コンセプトと方向感を同一象限内に置き、バキバキにキレイに作るのではなくて、少し笑えるようなチャーミングなテーマを掲げながら、お互いの領域である構造と建築のボーダーを意識しないようなモノづくりを楽しんでいます。 今回の構造計画のアイデアは、 ① 木質折版・・木質構造は、一般的にポスト&ビームに面材を貼り付けた建築の作り方になるので、構造部材を見せるとなると、結果的には線的な表現になります。となると、最後はJoist材の見付けを細くしたくなります。その呪縛から解き放たれたいので、色々と考えて辿り着いたのが、合板による折版でした。折版とは、折り紙1枚ではペラペラで面外曲げ剛性が無いのですが、折ると“とたんに“強くなるのと同じ現象です。当時は気付いていなかったのですが、CLTによる建築を多数手掛けた現在から見ると、 木質構造の表現方法であるJoist系の線による表現と、CLTなどのマスティンバーの面による表現との丁度中間領域の面なんだけれど、線的架構というおもしろい表現だと思っています。 設計時は、これをプレファブリケーションする予定だったのですが、大工さんの猛反対もあり、現場組み立てとしましたが、折版のプレファブリケーション大判化はいつかチャレンジしたいと思っています。 ② Steel枠組み構造・・この建物は、木質折版の表現が大部分を占めているのですが、クライアントの内外を曖昧な空間というテーマには、Steelの枠組み(ラーメン)フレームで透明感を表出しています。 この枠組みフレームに、フワッと乗っているだけの(ように見える)折版床との対比がおしゃれだと個人的には思っています。また、Steelフレームと建物の外壁は無関係なレイアウトなので、室内で柱を感じる部分があるため、柱のエッジ感を出すために、L型鋼(アングル)の2丁合わせでBuiltBox柱としています。 ③ 掘立て柱・・いわきの高台は、隆起した地盤のようで、今回は非常に良好な風化岩が初層から見られたため、基礎を作るのはもったいないので、穴を掘って柱を建てて、空隙をコンクリートで埋めたような掘立て柱としました。いわきの風化岩は局部応力や面外方向には脆いですが、面的な荷重に対しては抜群の強度を持っていました。 少し大きい建物を設計する機会も増えて来た今の自分たちの目から見て、あらためて構造計算書と構造図を見ていて感じるのは、アイデアの構築の仕方とそれを検証する手間を惜しまず、驚異的なくらい精緻に設計されていて、しかもそれを楽しくやっている感じが伝わって来て、いつまでもこの感覚で設計して行きたいな。とあらためて思いました (安藤 耕作)

data

所在地
福島県いわき市
用途
住宅
プロジェクト期間(開始)
2015.05
プロジェクト期間(竣工)
2016.04
規模
地上2階

Credit

クライアント
個人
建築設計
一級建築士事務所マツ
立役者(外部)
株式会社創健舎(ゼネコン)
立役者(AIG)
安藤 耕作
写真家
平井 広行