Loading
0

AIG

Projects

HERE WE INTRODUCE THE PROJECTS WE HAVE DONE.
ALL PROJECTS ARE MADE OF IDEAS AND THOUGHTS THAT
EMBODY OUR PHILOSOPHY “IMAGINEERING”.

HAKUBAIWATAKE MOUNTAIN HARBOR

浮遊感のある床を支える掘立柱構造
  • STEEL STEEL

over view & Goal

長野県白馬岩岳の山頂(標高1289m)にある、北アルプスの絶景を一望するための山頂テラスです。敷地はスキー場のトップに位置し、冬季以外にも観光客を呼びたいという、白馬観光開発株式会社さんの強い思いからスタートしています。計画中に敷地に建った時には、この絶景を1人占め出来る舞台のようなものを作りたいと強く感じました。竣工後2021年には、アニメのサザエさんオープニングで、長野県の観光名所としてこの建物がアニメーション化されており、舞台の最先端でサザエさんが北アルプスを眺めるという私達が実現したいと考えていた事をサザエさんが実行してくれています。 少し話は飛びますが、鉄骨建方の際、山頂までスキー場のゴンドラで移動し、やっとこさ登って敷地に着くと、山頂特有の霧で建物が見えず、少し時間が経つと、その霧の中から構造が現れたのは幻想的で忘れられない瞬間でした。敷地の条件が条件なので、全工程の施工の大変さは想像以上でしたが、地場ゼネコンの相模組さんはたくましく、自分たちがやらずに誰がやるんだという気合と気概で予定通り完成しました。 実は初期の構造案は、空飛ぶ絨毯のような床(鋼板とコンクリートのハイブリッド薄床)をふわっと架けて、それらをシャープに支持したテーパー柱で計画していました。その元案をベースに、建方に使える重機/搬入等、この敷地ならではの制約条件から施工側の大反対をポジティブに受け止め、案を練り直しています。 その構造計画/設計のテーマは、①舞台としての床の浮遊感、②崖地に無理なく作れる架構/接合等の諸条件の整理、③掘立柱の基礎計画です。

Idea

今回の建物の構造は、特殊な敷地のため、自分達が実現したい架構を具現化するのに鉄骨造の一択でしたが、敷地条件が厳しい場合、実際に施工する人との協働が重要なテーマとなります。 構造計画/設計のテーマに即して、AIGのアイディアを挙げると、 ①浮遊感を演出、崖に迫り出すテラスの先端部は柱から5mで計画し、その跳ね出し梁は方杖で柱から1mの部分で迎えにいくように支えています。岩岳の積雪高さは4.0mという、にわかには信じられない荷重ですが、浮遊感を出すため、少しでも長く跳ね出したいという思いもあり、片持ち長さも同じ数値で4.0mとしました。特に気を付けたことは、片持ち梁の先端変位量で、計算値と現場での実測値も確認し、ガラス手摺同士の接合位置の調整を行う等、変位の設計クライテリアをトータルで決めた上で、厳しい荷重条件の下、先端の浮遊感を演出するよう注力しました。 ②鉄骨部材の搬入は、幅3m程度の舗装されていない除雪のための山道を登る必要があり、部材長さを6mに揃えるよう工夫しています。現場での接合を簡略化するため、全てボルトで接合できるように設計しました。 ③基礎即ちRC工事を最小化し、無理なく作れるようにするため、まずは柱の本数を必要最低本数にしました。設計は鉄骨柱の足元を三角リブをつけたフーチングで根巻きし、柱にスタッドを打つことで、脚部の曲げモーメントの伝達及び転倒に対しての検討を行いました。 以上のようなアイディアを持って、施工者と議論しながら進めました。 この建物がオープンした2019年は、冬季以外の観光客数が1日当たり3000人で、スキーシーズンを超える人数がこの山頂まで足を運んだと聞いています。スキー以外で集客できるようになったことで、この地域の観光にとって多少はプラスになったのではないかと感じるやりがいのあるプロジェクトでした。後日談として、観光客の増加で、同じ設計・施工チームでティーラテ専門店のチャバティ白馬が実現しています。 建築の力でその土地の魅力を再発見し、こんなにも人の見方が変わるという良い例になったと思います(田邉 俊貴)

data

所在地
長野県北安曇郡白馬村
用途
飲食店
プロジェクト期間(開始)
2017.08
プロジェクト期間(竣工)
2018.08
規模
地上1階

Credit

クライアント
白馬観光開発株式会社
建築設計
株式会社遠藤建築アトリエ
立役者(外部)
昭和興業株式会社 (Steel工事)
立役者(AIG)
田邉 俊貴
写真家
KEN五島